審査員からのメッセージ〜 JPS展に応募される皆様へ 

熊切圭介(くまきり けいすけ) 写真家 審査員長

熊切圭介 写真というメディアは、現実に存在するもの、目に見えるものすべてが被写体となるので、日常生活での綿密な観察が大切です。 同時に、どんなに素晴らしい風景でもドラマチックな光景でも、その場に居なくては何も写せませんから、フットワークの良さが求められます。観察と行動力を生かした楽しい作品を期待しています。

1934年東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、フリーランスの写真家として主にジャーナリズムの世界で写真活動を行う。1987〜2010年、日本大学芸学部写真学科にて非常勤講師を務める。第2回講談社写真賞受賞、2012年度公益社団法人日本写真協会功労賞受賞。2015年5月より公益社団法人日本写真家協会会長。

 

宮澤正明(みやざわまさあき) 写真家

宮澤正明

日本写真家協会JPS展はプロ、アマ写真家の登竜門として名高いが、僕はむしろデジタル写真新世代の18歳以下部門に興味津々だ。フィルム時代をリスペクトしながらより自由で柔軟な新しい伝達機能としてのデシタル写真の未知の表現に出会える事を今から本当に楽しみにしている。テーマは「自由」自由が一番個性を出し易いが手強い。感性を際限無く出し撮りまくった人だけが頂点を極める。新しい表現に出会えるのを楽しみに待っている。

1960年東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、赤外写真作品『夢十夜』にてICP第1回新人賞を受賞。帰国後はファッション・広告など幅広い分野で撮影を行う。一方、日本の原風景の撮影をライフワークとし国内外で写真展を多数開催。2004年の神嘗祭の撮影を機に伊勢神宮の撮影を開始、第62回伊勢神宮式年遷宮の正式な撮影許諾を受け2013年の遷御の儀までの9年間で6万点に及ぶ作品を奉納。併せて日本各地で写真展『伊勢神話への旅』を開催。集大成としての写真集『浄闇』と『遷宮』を出版。また、伊勢神宮の森をテーマにしたドキュメンタリー映画『うみやまあひだ』を初監督しマドリード国際映画祭外国語ドキュメンタリー部門で最優秀作品賞を受賞。

 

山口規子(やまぐちのりこ) 写真家

山口規子 この瞬間を残したい写真がある。自分自身を表現したい写真がある。あの人に伝えたい写真がある。風景写真や人物写真、静物写真など写真のジャンルは様々ですが、撮影者1人1人の思いはもっと深くてもっと様々。そんな思いを胸に審査していきたいと思います。今年はどんな写真に出会えるか楽しみにしています。ぜひ奮ってご応募ください。

栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。文藝春秋写真部を経て独立。女性誌や旅行誌を中心に活動。透明感のある独特な画面構成に定評がある。「イスタンブールの男」で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、「路上の芸人たち」で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。著書に『メイキング・オブ・ザ・ペニンシュラ東京』、『Real-G1/1scale GUNDAM Photographs』、『奇跡のリゾート星のや竹富島』など。料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。

 

吉村和敏(よしむらかずとし) 写真家

吉村和敏 この歴史ある大きなJPS展で入賞を狙うには、とにかく精力的に写真を撮りに出掛け、たくさんシャッターを切ることが大切です。その時、「絶対に入賞する!」「上位を狙う!」と心の中で念じてください。そう、この強い意思があると、写真を撮ることに燃え、次々と力強い作品を生み出せるのです。そんな作者の意気込みは、不思議と作品に宿り、審査員の心に響きます。写真を撮る上で、テクニックはあまり必要ありません。ただ一つ、他の人とは違う視点を持つことを心掛けてください。多くの人がカメラを向ける被写体はあえて無視し、誰も興味を示さないような被写体を狙うのです。すると、写真をはじめたばかりの初心者でも、アッと驚く個性ある作品が誕生します。特に、若い人の作品は大歓迎です。こんな作品を応募して大丈夫だろうか……ということは気にせず、審査員に挑戦状を叩きつけるような感じで作品を送ってください。すべて公平に審査します。応募の締め切りは2016年1月20日、まだ十分な時間があります。今から撮影をはじめても遅くないですよ。

1967年長野県松本市生まれ。県立田川高校卒業後、東京の印刷会社で働く。退社後、1年間のカナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビューする。以後、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、意欲的な撮影活動を行っている。2003年 カナダメディア賞大賞受賞 2007年 写真協会賞新人賞受賞。2000年のデビュー作『プリンス・エドワード島』(講談社)で注目を集める。『光ふる郷』(幻冬舎)、『ローレンシャンの秋』(アップフロントブックス)など作品集を次々と発表。詩人・谷川俊太郎との共著『あさ/朝』『ゆう/夕』(アリス館)は異例のベストセラーとなった。『BLUE MOMENT』(小学館)、『PASTORAL』(日本カメラ社)、『「フランスの美しい村」全踏破の旅』(講談社)、『Sense of Japan』(ノストロ・ボスコ)、『Shinshu』(信濃毎日新聞社)など多数。

 

佐々木広人(ささきひろと) 写真雑誌『アサヒカメラ』編集長

佐々木広人 見事なフォーカス、均整のとれた構図、息を飲むような色彩美、精彩なプリント...素晴らしい作品に出逢えるのは本当にうれしいものです。しかしながら、撮影者の思いがありったけ込められたような、渾身のストレートのような作品にはまだお目にかかれていない気がします。そつなくまとめた「秀作」ではなく、審査する僕らがぶっ飛んでしまうような直情的な作品が見たい。機材が高性能化した現代
だからこそ、粗削りでもロックのような骨太さに意味があります。どなたか、僕をブッ飛ばしてください!

1971年、秋田県生まれ。96年にリクルートに入社し、海外旅行雑誌「エイビーロード」編集部に在籍。99年に朝日新聞社に入社し、週刊朝日編集部に在籍。同誌副編集長、WEB担当、販売部宣伝担当などを経て、2013年9月から「アサヒカメラ」副編集長に。2014年4月からは編集長。