2024年04月13日 増田雄彦
KKAGで2年前に写真展を行ったなぎら健壱さんが、今回は被写体として帰ってきます。なぎら健壱さんは東京・吉祥寺の老舗ライブハウス「曼荼羅」、「MANDA-LA2」で40年以上も毎月ライブを行なっている。長年米国に在住し、主に西海岸の写真を撮影してきたフォトグラファーの増田雄彦氏は、2009年の帰国後より十数年に渡り、「MANDA-LA2」にてなぎら健壱さんのライブを撮影してきた。フォークシンガーとしてのなぎら健壱さんのオンとオフを捉えたモノクロ作品約20点を展示します。ぜひご高覧ください。
MANDA-LA2 は吉祥寺にあるライブハウスだ。70 年代に開店した歴史的なライブハウス曼荼羅の2号店となる。僕が育ったのもこの吉祥寺で、小学生の頃はフォークソング・ブームの真っ只中にあった。年上の従兄の影響もあって自然とフォークソングを聴くようになり、流石にライブハウスへは行けないものの、駅ビルのレコード屋へは足繁く通ったものだ。既になぎらさんはスターだったし、今のように近い距離でお会いするなんてことは想像にもつかない話であった。
親の転勤で吉祥寺を離れ、さらに何十年も経つと同級生たちも実家を残すのみで吉祥寺からはいなくなった。帰る場所とは言えなくなった吉祥寺ではあるが、自分自身が文化的な成長を遂げる上で、吉祥寺での経験が重要であったことは間違いない。今こうして、なぎらさんを聴きながら MANDA-LA2 で過ごす時間は自分の中に僅かに残った地元意識を蘇らせてくれる。吉祥寺で過ごした時間をプライドに、次の一歩を踏み出すことができる。
なぎらさんは吉祥寺で50年ちかく歌い続けている。僕とはまったく違う思いを持って吉祥寺に立たれているのだと思う。そして MANDA-LA2 は歩みを止めないために必要な場所になっているのではないだろうか?
今までにいろんなステージやメディアでなぎらさんを目にしてきた。酒席に同席させていただいたこともある。いつでもどこにいても、なぎらさんはいかにもなぎらさんらしくてブレがない。でも、一番カッコいいのは MANDA-LA2 のなぎらさんだと断言させてもらおうか。
増田 雄彦 MASUDA Takahiko
増田 雄彦 写真展「movin’ on – MANDA-LA2 のなぎら健壱」
会 期:2024年4月10日(水)~4月27日(土)
時 間:15:00〜21:00(水、木、金、土)※日、月、火は休廊
会 場:KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)
〒101-0031 東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル405 TEL: 03-3862-1780
ウェブサイト:http://kkag.jp/
増田雄彦 | Takahiko Masuda
1961年生まれ。高校までを吉祥寺で過ごす。多摩美術大学にてグラフィックデザインを専攻。90年代初頭にバブルの弾けた勢いでアメリカ・オレゴン州に移住。日系企業の広告、ウェブデザインを手掛けながら西海岸の写真を撮り続ける。シリコンバレーの画像処理ソフトウァア会社にグラフィックデザイナーとして勤務するも、写真への造詣を買われてRAW現像ソフトのプロダクトマネージャーに転身。2009年の帰国後はフリーカメラマンとして写真展などで写真を発表する傍ら、メーカー作例などを撮影。製品レビューをウェブマガジンなどに寄稿している。公益社団法人 日本写真家協会会員。