写真家 秦達夫の流儀 風景写真を撮るために先を読むこと
僕の得意なジャンルは風景なので、風景写真についてお話したいと思います。風景写真は受動的な要素が多く、作り出すと言うより写し出す撮り方が主体になりがちですね。僕は写し出すと言うよりも「写し受け止める」と表現したいと思っています。
よく「切り撮る」と表現される方がありますが、斬鉄剣であろうと風景を切ることはできません。言葉遊びのようなものですが僕のちょっとした拘りです。
風景は受動的なものだからと言って受け身で行動していては思うような撮影はできません。例え受け身でいながら撮影に成功したとしても、それは「撮れた」だけであって「撮った」とはなりません。もう少し厳しい言い方をすると「撮らされた」だけなのです。
餌やりの管理が行き届いた釣り堀で沢山魚を釣ったとしても釣果と評価されないのと同じです。そこで先を読み先手を打つ事を意識しましょう。
太陽は東から昇って西に沈む絶対的な法則があります。月も月齢によって輝きを変化させます。春に桜が咲き、秋にカエデは色付きます。風景には法則が存在し先を想像する事が可能なんです。天候は少し複雑ですがスマートフォンの発達により、かなりの確立で天候を予想できます。そう言った意味では先を読むと言うよりもデジタルガジェットを制した者が優位に立つ時代なのかもしれません。と言っている僕ですが5世代前の古いスマートフォンを使い続けています。あしからず。
ここで大切になってくるのが、情報を撮影に活かせる経験値です。デジタルガジェットから得られる情報は重宝しますが、違う言い方をすると、みんなが共有している情報であり、またそれが正しいかどうかも定かではないのです。
最新の情報をキャッチし正しいか否かを判断して撮影に必要な行動をする。決断力と経験値がとても重要なんです。そして最後は神頼み(笑) 僕は宗教家ではありませんが、写真の神様は居るんです。
僕の体験ですが「あの雲どいて下さい!」とお願いすると、雲がなくなるんですよね。だから日頃の行いはとても重要だと思っていています。参考になるか分かりませんが、僕は天候が悪く撮影がどうしても上手く行かないときは、落ちているゴミを拾って帰ります。ゴミ拾いは運気が上がると言われているかは知りませんが、落ちているゴミをゴミ箱に捨てると雲(「うん」と読んで下さい)が味方をしてくれるんですよ(笑)
信じるか信じないかは貴方次第です!
長野県飯田市遠山郷(1970/4/20生)。自動車販売会社・バイクショップに勤務。後に家業を継ぐ為に写真の勉強を始め自分の可能性を信じ写真家を志す。写真家竹内敏信氏の助手を経て独立。故郷の湯立神楽「霜月祭」を取材した『あらびるでな』で第八回藤本四八写真賞受賞。同タイトルの写真集を信濃毎日新聞社から出版。写真集『山岳島_屋久島』『屋久島RainyDays』『Traces of Yakushima』エッセイ『雨のち雨ところによっても雨_屋久島物語』
小説家・新田次郎氏『孤高の人』の加藤文太郎に共感し、『アラスカ物語』のフランク安田を尊敬している。
日本写真家協会会員・日本写真協会会員・日本写真芸術専門学校講師・Foxfireフィールドスタッフ
オフィシャルHP
写真家 秦達夫 オフィシャルサイト:photohata.com
2023年開催予定写真展情報
2023年6月28日~7月10日 場所:OMSYSTEMギャラリー (仮)黒部源流の山々
2023年9月25日~10月4日 場所:小諸高原美術館 タイトル未定