2021年09月08日 内田雅子
金澤翔子さんとその母・泰子さんに出会ったのは11年前、雑誌のインタ ビュー撮影 だった。以来、私は翔子さんが全身全霊で筆を動かす躍動感をカメラに収めてきた。また、その一方で童子のような純粋さに癒され、菩薩のごとく柔らかな佇まいに 心打たれた。
翔子さんからあふれる大きな愛の世界、慈しみの瞬間を撮り続けるなかで、あるとき、ふと感じた。翔子さんが醸し出す優しい世界は、母・泰子さんとともに作り上げたものであると。
翔子さんのそばで寄り添っている時、遠くから娘を見つめる眼差し、また、そこにいない、翔子さん一人の時。翔子さんの世界には、いつも母の思いが息づいていて、私は、翔子さんを撮りながら、同時に泰子さんの思いを収めていたことに気づいた。時には厳しく、時に優しく……。36年間の軌跡がそこにはあふれている。
いま、社会は大きく変動している。人々の生活 が様変わりするなか、金澤さん親子も例外ではなかった。しかし、一旦立ち止まったその時間の中で、母は娘の成長をより強く感じ、娘は母の愛をさらに深く受けとめていく。
いついかなる時も「共に生きる」母と娘の絆を、私はこれからも撮り続けていく。
日時 9月8日〜14日 10時から20時(最終日は16時半まで)
場所 小田急百貨店新宿店本館10階美術画廊・アートサロン