サンディスクに訊く プロ写真家が使うメモリーカードの豆知識 第1回

第1回 メモリーカードの基本の基本
カードの種類 静止画撮影枚数の目安 動画録画時間の目安

デジタルカメラが普及してカメラの持つ記録性を支えるフィルムはメモリーカードへと代わりました。フォトグラファーが安心して使えるメモリーカードの種類はフィルムの種類よりも多く形は同じでも、その性能はかなり違っています。今回はメモリーカードのシェアでナンバーワンのサンディスク株式会社の羽田野恵美氏、長谷川史子氏からお話を伺いました。
初回の今回は、「メモリーカードの基本の基本」としてメモリーカードの種類と特徴、静止画撮影枚数の目安、動画録画時間の目安について取り上げます。
次回以降は、「正しいメモリーカードの選び方」や「表記の見方」の他、「素朴な疑問」などについて取り上げる予定です。

メモリーカードの種類

サンディスク株式会社 長谷川史子氏(左)、羽田野恵美氏(右)

サンディスク株式会社
長谷川史子氏(左)、羽田野恵美氏(右)

メモリーカードはフォーマットによっていくつかの種類がありますが、このページではフラッシュメモリ(Flash Memory)と呼ばれる不揮発性メモリの中でもカメラの記録メディアとして利用されるメモリーカードを中心に検証するものです。
デジタルカメラ用のメモリーカードはこれまでに様々なフォーマットが存在していましたが、現在はCF、SD、XQDの他、今後の採用が期待される最新のCFastを加えた4種類に集約されている状況です。
下記の表は各メモリーカードの画像と特徴をまとめたもので、画像をクリックすると拡大画像を見ることができます。

CF(Compact Flash)

CF

コンパクトフラッシュ(Compact Flash)

CFast2.0対応カード(手前)と従来のCompactFlashカード

CFast2.0対応カード(手前)と従来のCompactFlashカード

最大転送速度 UDMA7 167MB/s
比較的ハイエンドのデジタル一眼レフカメラに採用されている。CFはサンディスクが開発し「コンパクトフラッシュ(Compact Flash)」という名称はサンディスクの商標。
コンパクトフラッシュに関する規格の策定、標準化および普及促進活動を行う業界団体はCFA(CompactFlash Association)


Q:コンパクトフラッシュは長い間、ハイエンドデジタルカメラの記録メディアとして採用されていますが、今後はどうなりますか?
A:今後も最低保証速度は伸びる可能性があるものの、規格上の容量上限が近づいています。

Q:コンパクトフラッシュには「X倍速」という表記で書かれていることがありますが、基準になるスピードは何ですか?
A:CD-ROMの転送速度である150KB/sに対して何倍のスピードなのかを表すものです。

CFast(2.0)

CFast

CFast(2.0)

従来のCompactFlashカード(下)とCFastカード(上)コネクターの違い

従来のCompactFlashカード(下)とCFastカード(上)コネクターの違い

次世代メモリーカードの規格、SATA3(シリアルATA3)インターフェースを搭載し、最大転送速度 6.0Gb/s(600MB/s)を 実現
CFカードと大きさは同じであるが、インターフェースが全く異なる。CFカードでは曲がるなど破損の可能性のあったピンを排除したコネクタを採用したため互換性はない


Q:オリンピック・イヤーの今年、発売が予想されるハイエンドのデジタル一眼レフへのCFast採用は?
A:現状ではキヤノンXC10、C300などのハイエンドのビデオカメラ等の採用にとどまっていますが、今後は増える可能性があります。デジタル一眼レフカメラに採用されるかどうかはメーカー次第。

※2016年4月26日追記
キヤノンは2016年2月2日、 記録メディアにCFast(2.0)とCFのダブルスロットを採用のEOS-1D X Mark IIを発表した。
(4月28日発売予定)

SD

SD

SD

サンディスク、東芝、パナソニックによる共同開発規格
当初はコンパクトデジタルカメラでの採用が多かったが、現在ではデジタル一眼レフカメラを含め、一番多く使われているカードとなっている。通常サイズに加えてminiとmicroを加えた3種類の大きさが存在する他、ファイルフォーマットの違いにより、SD、SDHC、SDXCの3種類のフォーマットがある
SDカードの規格策定や標準化、普及促進などはSDアソシエーション(SD Association)がおこなっている。

SDカード サイズの違いによる種類

miniSD
miniSD

主に携帯電話向けのメモリーカードとして利用されてきたが、現在では、ほぼmicroSDカードに置き換わっている。
 
 
 

microSD
microSD

当初は携帯電話向けにTransFlash(トランスフラッシュ)カードの名称で開発されたのちmicroSDに名称変更されたリムーバブルメディアの中で最も小さなメモリーカード。携帯電話のみならずデジタルオーディオプレーヤ、コンパクトデジタルカメラ等に採用されている。

SDカード ファイルシステムの違いによる種類

・SD(Secure Digital)

最大容量2GB ファイルシステム FAT16

・SDHC(SD High Capacity)

最大容量32GB ファイルシステム FAT32

・SDXC(SD eXtended Capacity)

最大容量2TB ファイルシステム exFAT


Q:SDカードにはスピードclassというものが書かれていますが……
A:スピードクラスは、動画をスムーズに撮影するために設定された最低保証速度であり、静止画にはまったく無関係です。ただ「書込み速度」や「読取り速度」を公表していないメーカーが多いため、本来は動画の最低保証レートであるスピードクラスを見てしまう方が多いようですが、正確な「書込み速度」ではありません。

 

XQD

速度理論値 2.5Gbps
比較的ハイエンドのカメラに使用されるカードで、現時点でのスチールカメラへの採用はニコンD4、ニコンD4Sにとどまる。

※2016年4月26日追記
ニコンは2016年1月6日、XQD-Typeで同種メディア2枚が使えるメモリーカードダブルスロットを搭載のD5
(2016年3月26日発売)、XQDカードとSDXCメモリーカードのダブルスロットを装備のD500(2016年4月28日発売予定)を発表した。

静止画撮影枚数の目安

画素数 JPEG
ファイルサイズ
8GB 16GB 32GB 64GB 128GB
2400万画素 10MB 600枚 1,200枚 2,400枚 4,800枚 9,600枚
1800万画素 8MB 760枚 1.520枚 3,040枚 6,080枚 12,160枚
1600万画素 7MB 1,000枚 2,000枚 4,000枚 8,000枚 16,000枚
1400万画素 4MB 1,600枚 3,200枚 6,400枚 12,000枚 25,000枚

※撮影可能枚数はあくまでも目安です。撮影時の解像度、圧縮率、ビットレート、コンテンツ、ホスト機器などによって異なります。

動画録画時間の目安

ファイルサイズ 8GB 16GB 32GB 64GB 128GB
4K動画 2分 4分 8分 16分 32分
フルHD動画 20分 40分 1時間20分 2時間40分 5時間20分
HD動画 40分 1時間20分 2時間40分 5時間20分 10時間40分

※あくまでも目安です。録画時間は、ファイルサイズ、解像度、圧縮率、ビットレート、撮影内容、ホスト機器によって異なります。

※4K動画 4096×2160 500Mbps フルHD動画 1920×1080 30FPS
HD動画 1280×720 30FPSの場合。

上記表はサンディスクの許諾を得て「失敗しないSDカードの選び方(PDF」内の表を転記したものです。

撮影と文:加藤雅昭
協力・画像提供:サンディスク株式会社