JPS「昭和の写真家ライブラリー Vol.1 土門拳」を公開

JPS「昭和の写真家ライブラリー」シリーズの公開にあたって

出版広報委員会担当 専務理事 小池良幸

 

 

当協会では、貴重な写真家の業績記録、資料収集を目的として、1970年から1999年まで声と映像による企画「声のライブラリー」を実施してきました。これは、写真家本人に直接お会いして創作活動や写真論などを話していただいた、本人の肉声を収録したものです。現在においてこのインタビューに登場した写真家の大半の方々は他界され、再び写真家本人からお話をうかがうことはできません。

 

今回、主に磁気テープ素材(カセットテープ、VHS)や8mmフイルムを使用して記録されたものをデジタル化、記録媒体の入れ替え作業をしました。これらの貴重な記録を新たに公開し、 後世に伝えることで、 これから写真を学ぶ人たちの学習や教育にも役立てたいと考えます。

 

この度、デジタルデータ化した中からご遺族より許諾をいただきました写真家の動画に編集を加えてJPS「昭和の写真家ライブラリー」シリーズを制作しました。8mmフイルムに記録された17名の著名な写真家の生の声や撮影現場の状況が伝わる貴重な資料として、JPS公式YouTubeチャンネルに公開いたします。

初回「Vol.1 土門拳」のあと、順次写真家の動画を公開する予定ですのでお楽しみに。

 

また協会では、写真家の土門拳や木村伊兵衛、渡辺義雄ら42人の録音の要約(ダイジェスト版)を、その当時の当協会発行誌に掲載しました。その該当ページをPDF化した冊子「声のライブラリーダイジェスト版」《後世に残したい写真家のインタビュー記事》を制作し、写真学校を始め、図書館、美術館等の関係団体に贈呈し、広く活用していただいています。

 

なお、この動画のデジタルアーカイブ化は一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の共通目的基金の助成を受けて実施されたものです。

 

 

 

 

JPS「昭和の写真家ライブラリー Vol.1 土門拳」

 

土門拳(どもん・けん 1909-1990)の撮影風景です。

本動画は、1978年に開催されたJPS展で会場放映するために収録されたものです。

土門拳は山形県酒田市出身の写真家で「写真の鬼」と称されました。

報道写真家として活躍し、『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』など社会性の高い作品を発表。

また、日本の古寺や仏像を撮影した『古寺巡礼』シリーズはライフワークとして知られています。

リアリズムを追求し、「絶対非演出」の信念を貫きながら戦後日本を代表する存在となりました。彼の作品は現在、酒田市の土門拳記念館に収蔵されています。